NHKで放送していたラストルック〜世界を変えたー着holes〜 /デザイナー川久保玲は、創発と言う現象を見事に説明する良番組であった。創発は複雑な関係性から生まれる意図不在m還元不能な現象であり、身近でありつつも、理解が難しい現象である。意識や心も創発であると言われる。さてファッションに少しでも興味がある人は川久保玲さんもしくは、コムデギャルソンの名前を聞いたことがあるだろう。
コムデギャルソン通称「コムサ」は、日本のファッションデザイナー、川久保玲が1969年に設立したプレタポルテ(高級既製服)ブランドで、通称「ギャルソン」とも呼ばれています¹。ブランド名「COMME des GARÇONS」はフランス語で「少年のように」という意味を持ちます。ただし、ここでの「少年らしい」とは、そのデザインと表現に関する冒険的な姿勢を指しています²。川久保玲の独自性と斬新なアプローチが、このブランドの特徴となっています。その川久保玲さんの有名な作品holesの経緯とその影響などを取り上げたのが冒頭の番組である。
川久保さんは自分が考えているテーマを形などこう抽象的な言葉で伝えて、はい、その言葉をもとにパタンナーさんたちが 服の形を考えていく、模索していく、
きっとそのパタンナーさんたちの新しい発想もかなりそこに 組み込まれてくる。チームとして新しいものを生み出していくっていうことなのかなって。なるほど。うん。
で、今回、その川久保玲さんに服作りへの思いだったり、生き方、はい。について伺ったところですね。文章でお答えがありました。答えてくださった。お、すごいことなんですよ、まずですね、当時どんな思いでホールズを制作されたのでしょうか。と 伺いました。ええ、そしたらですね。うん。過去の仕事も、毎回のコレクションについても同様ですが、 どのようなきっかけで、何が発想の源で形になったのかは不思議ですが思い出せません。(筆者コメント:意図不在、還元不能(類推出来ない)創発の定義に一致)
初めに具体的なテーマを設定するわけでもなく、漠然とですが、 常に探し物をしている日常の中で、偶然性や過去の何かとの巡り合いのようなものが重なってひらめく一瞬のことのように思います。 (筆者コメント:認知科学における創発による認知的変化(知識生成)の解明状況や環境のリソースに経験のリソースを用いて認知的変化を創発するという説に一致)
それは、いつも何かを、新しい何かを探しているモードに自分を置いているからこそなのだと思います。ということですね。
番組出演者コメント:なんかちょっとすごい鳥肌立っちゃいましたけど、 自分のやっぱりこ心にちゃんと従ってらっしゃるというか、そうやって今までずっと歩んできてるっていうのは、いやほんとに多分強い心をお持ちなんだね。
心とは脳内の大域的アトラクターの明滅であるという脳科学の理論にも言及している。
ブランド名にも込められているという冒険的な姿勢こそが創発の源なのである。そして、川久保玲さんの心に灯っている創発の炎が生み出したholesは、世界のファッションにとって創発の源となっていくのである、この、ミクロの秩序が新たなマクロの秩序を生み出し、ミクロの秩序がそれに追随していく様こそが複雑系におけるスレービング原理なのである。